AIで司法書士の仕事がなくなる?!

9月頃の日本経済新聞に掲載された「AI時代のサムライ業」という記事で、AIに士業の仕事のほとんどが奪われるとの記事が掲載されました。

 

確かに考えてみると、あらゆる職種の中でAIの脅威に全く晒されない職種はほとんどないのではないでしょうか。その中でも士業の仕事はかなりの部分を奪われるとのことでした。

 

その中でも税理士の仕事が92.5%の確率でAIに奪われると書いてあり、かなり高い確率でした。(司法書士は78.0%)

 

皆さんはどう思われますか?

 

結論からいうと、近い将来自動化にはなりますが、完全AI化はまだまだ先だと思っています。

 

確かに、自動化・AIを利用して手続きする方が増えることは間違いありません。ですが、「司法書士が不要になるか」という問いに関しては、そうは思いません。

 

例えば、イメージのしやすい税理士の業務で考えてみます。

 

税理士業務をすべて自動化するとして、今の状態のどこを変えて自動化しますか?

 

私は以前の事務所に在籍していたときに、司法書士法人の役員報酬と行政書士法人の役員報酬の2種類の収入があったので確定申告の必要がありました。

 

税理士さんにお願いして申告することもできますが、なんでも経験だと思って自分で税務署に行って手続きしてみたのです。そのときどんな手続きをしたかというと・・・

 

パソコンのタッチパネル画面で、収入その他の項目をピッピッと入力して「ハイ終わり」でした!!いとも簡単に確定申告終了です。

 

今現在でも、申告手続きをするのなら簡単にできます。ほぼ自動化している印象を受けました。

 

では、なぜ税理士さんにお願いするのかというと、面倒な記帳代行のためだけではなく、節税のためです。税に関しては様々な節税方法があり、法人にもなると多様な節税方法が存在します。

 

これは脱税ではなく、節税です。知らない人が損をするというだけで、別に多く税金を支払っても国は嬉しいだけなので何もアドバイスはくれません。

 

つまり、手続き自体は自動化になるのは間違いありませんが、ニーズはそんなところにはないと思うのです。

 

よって、単に記帳代行するだけで節税方法のご提案をしない事務所・・・つまりコンサルティングの要素のない事務所は淘汰されていくでしょう。

 

 

我々司法書士の業界も同じです。

 

身内同士のAさんからBさんへの贈与による土地の名義変更・・・これは時間と手前をかければ誰でもできるし、自動化できるところでしょう。身内であれば、特にリスクもないし司法書士に頼まなくても法務局で相談しながらなんとかやっていけると思います。(ただ、贈与税を知らない方は贈与税の請求書がドカンときてびっくりするかもしれませんね!)

 

しかし、取引の場面においては、司法書士のニーズはそんなところにはないのです。

 

なぜ司法書士を使うのか、それは取引の安全のためです。

例えば、AさんとBさんが他人の場合で、土地を1000万円で売買するとき、買主のBさんは登記名義がちゃんと自分の名義にならないとお金を支払う意味がありません。

(※法律上、登記名義がなければ自分の土地であるということを他人に主張できないことになっています。)

 

想像してみてください。

あなたがBさんだとして、Aさんに1000万円を支払ったあとに、「自分で手続きした登記申請にミスがあったから、自分の登記名義にならなかった!!」。その後、Aさんに連絡してもつながらない・・・お金だけ取られて、しかも登記名義も得られなかった・・・。

 

これでは、取引がとても不安なものになります。そこで司法書士が取引の間に入って「Bさん、この書類で間違いなく登記はあなたのものになりますよ!ですから安心してAさんに支払ってください(^^)」となるわけです。

 

これは金融機関が融資をする際も同じです。お金を貸すその日に必ず土地を担保に入れないといけないため司法書士を利用するのです。(※抵当権設定登記といいます)

 

極論すれば、登記が入らなかった場合は保険金でカバーできるような保険が出れば取引の現場において司法書士は不要になるでしょう。しかし、詐欺集団も横行する中で、そんな保険会社が損するような保険商品は出てこない気がします。

ついこの前も積水ハウスが68億円を詐欺集団に騙し取られてしまいましたね…。

 

このように司法書士を利用する意味は、単に面倒な手続きを代行するだけではないのです。

 

また、リスクの伴わないように見える相続手続きやその他の手続きでも、実際時間をかけて調べれば手続き自体は自分でできます。よって、自動化できます。

 

しかし、その手続きした結果、後でどういうリスクを孕んでいるのか、もっといい手段があるか判断するところまでは、たとえ自動化するまで発展しても判断は難しいでしょう。

 

そういった意味で、これからの司法書士・行政書士は言われただけの手続きをこなすだけの事務所は淘汰されるはずです。だってそれは自動化するから。

 

言われるだけの手続きを行うというのは、医者に例えると「頭が痛いので頭痛薬をください」という患者に対して、診断もせずに「ハイ、頭痛薬」と渡してしまうのと一緒です。

もしかしたら、もっと重大な病気かもしれません。医者がしっかり話を聞いて、他の病気の可能性も考えなければ仕事をしたとは到底言えません。このようなスタンスは司法書士も同じだと思うのです。

 

このような理由から、私は「こういった選択肢もありますよ。こちらの手段を取ればこうなりますが、いかがいたしますか?」とご提案できるような、法務のコンサルディングの要素を併せ持った事務所にならなければならないと考えています。

「こうしないとダメですよ」とは決して申しませんのでご安心ください。

 

あらゆる複雑なパターンにもミスなく対応でき、最高のご提案をしてくれるAIロボットが開発・実用されたら、それはさすがにお手上げです(笑)しかし、そんな時代には医者や弁護士も含めてほとんどの業界で人間は不要になっているでしょう。。そこまでいくと逆にどんな世界になっているのか見てみたいですね!

 

ただ、私はどんなにAIが発展したとしても結局最後は「人」だと思っています!!人間が欲する「ホスピタリティの需要」はなくなりません。

 

今回は長文となりましたが、少しでも専門家に相談するメリットを感じていただけると幸いです。

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