「登記が終わったとたん、不動産会社から売却のチラシやハガキがたくさん届くようになったんですけど……司法書士が情報を出してるんですか?」
実際に、依頼者の方からこう聞かれたことがあります。
でも、はっきり言えます。
司法書士は、相続登記の情報を業者に渡すことはありません。
では、どうして情報が業者に知られてしまうのか?
理由は「不動産登記受付帳」という仕組みにあります。
📌 不動産登記受付帳ってなに?
法務局では、登記の申請を受け付けたときに「受付帳」という帳簿に以下の情報が記録されます:
-
登記の目的(例:相続による所有権移転)
-
不動産の所在地
-
受付番号・日付 など
この「受付帳」は、実は誰でも情報公開請求できるようになっています。
つまり、業者が法務局に請求すれば、「最近、相続登記された不動産の情報」が簡単に手に入るんです。
その情報をもとに登記簿を取り、所有者の名前・住所を調べてDMを送ってくる、という流れです。
🧭 東京司法書士会も「この制度はおかしい」と声明を出しました
2025年7月2日、東京司法書士会が会長声明を発出しました。
内容は、不動産登記受付帳の開示制度を見直すべきという提言です。
特に注目すべきは、総務省の統計で「情報公開請求の6割以上が受付帳絡み」という異常な実態。
つまり、業者が日常的にこの制度を(合法的に)活用しているということなんです。
💡 登記前に知っておいてほしいこと
私の事務所では、相続登記のご依頼を受けたときに必ずこう説明しています:
「登記が終わったあと、不動産会社からたくさんDMが届くかもしれませんが、これは法務局の制度によるものです。司法書士が情報を外に出すことは一切ありませんので、ご安心ください」と。
📣 最後に
相続登記が義務化され、多くの方が登記に動き始めています。そんな中で、突然のDM攻勢に驚かれるのも無理はありません。
でも、これは制度の問題であって、司法書士が情報を渡しているわけではないと、どうかご理解ください。
なお、令和8年10月1日からは不動産登記規則が改正され、受付帳から「登記の目的」や「不動産の所在事項」などが削除される動きになっております。
この制度変更が実現すれば、相続登記をした直後に不動産会社からDMが届くというような事態は今後は基本的に発生しなくなります。
安心して登記を進めていけるよう、これからもサポートしてまいります。