遺言書の作成を強くおすすめするケース

そもそも遺言書を書いてなかったらどうなるの?

「遺言書を書いた方がいい」ということは、テレビや雑誌で一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

では、そもそも遺言書を書いていない場合は、どういった手続きを行わないといけないのでしょうか?

遺言書を書いていないと「預金から現金を引き出す」場合や「不動産の名義変更する」場合に、以下の①~④をすべてそろえての手続きが必須になります。

① 遺産分割協議書の作成
② 上記の遺産分割協議書に相続人全員の「実印」押印
③ 相続人全員の印鑑証明書と戸籍謄本が必要
④ 亡くなられた方の出生から死亡までの除籍戸籍等すべてが必要

特に注意していただきたいのは、これらは多数決ではなく、「全員の意見が一致しないといけない」ということです。

相続人の中に、1人でも反対して実印を押してくれない人がいると相続手続きは何も進めることができないのです。

 

遺言書を書いていたらどうなるの?

公正証書遺言書がある場合、上記①~④をそろえる必要がなくなり、公正証書遺言書と自分の印鑑・戸籍のみで手続きを進めることができるのです。

つまり、他の相続人に印鑑をもらったりする必要がなく、すべてご自身だけで手続きができるということです。

 

遺言書の作成を強くおすすめするケース

下記の中に1つでも当てはまる方は、遺言書を書いておくことを強くおすすめいたします。

これらのどれか1つにでも当てはまる場合は、遺言を書いておかないと遺された相続人の方はとても苦労をすることになります。

是非一度、公正証書遺言の作成をご検討ください。

なお、公正証書遺言であっても、遺言はいつでも何度でも書き換えることができますので、思い立ったらまず作成しておくと良いでしょう。

□ 夫婦の間に子供がいない。
□ 離婚歴があり、前妻(前夫)との間に子供がいる。
□ 内縁関係(事実婚)である。
□ 推定相続人(相続人になる予定の人)の中に認知症の方や行方不明の方がいる。
□ 土地・建物を所有している。
□ 自営業・会社経営をしている。または、農業を営んでいる
□ 子供のうちの1人と同居(または介護)している。
□ 子供の仲が良くない。
□ 自分の相続で家族に面倒な手続きをさせたくない。
□ 相続人の数が多い。
□ 子供間に経済的な格差がある。
□ 相続人以外の人に遺産を遺したい。または、寄付がしたい。
□ 相続人が全くいない。

 

 

よくあるトラブル事例

・夫婦の間に子供がいない場合、配偶者だけではなく、兄弟姉妹も相続人となります。

夫婦の間に子供がいない場合、遺された配偶者は、亡くなった夫(妻)の兄弟姉妹全員から実印をもらわないといけなくなるのです。

これはあまりに酷であり、大変な労力を伴います。

今まで二人三脚で築き上げた財産を兄弟姉妹に分けないといけなくなるのは、不本意ではないでしょうか。

このような場合は遺言を書いておくことによって問題が解消されます。

 

・離婚歴があり、前妻(前夫)との間に子供がいる場合

前妻との間に子供がおり、そして、後妻との間にも子供がいる場合、遺された子供は出会ったこともない腹違いの兄弟姉妹と遺産分割協議をしなくてはなりません。

これは遺された子供にとっては大変な労力です。

遺産争いとならないためにも、遺言を遺しておくべきケースです。

 

・内縁関係(事実婚)の場合

現在の日本では多様な夫婦の形があり、判例上も権利が認められてきておりますが、「相続」に関してはあくまで法律婚を重視し、内縁関係の方には相続権を認めておりません。

生活を共にしている大切な方に財産を遺すためには、遺言を作成しておかなければなりません。

 

・相続人の中に認知症の方がおられる場合

相続人の中に認知症の方がおられる場合には、そのままでは相続手続きを進めることは一切できず、裁判所において認知症の方の成年後見人を選任してもらい、さらに相続人のうちの1人が成年後見人になった場合は、特別代理人を選任しなければなりません。

この場合、相続手続きがすべて終わるのに半年以上かかることも少なくなく、相続人の労力は並大抵のことではありません。

このケースも、遺言を遺しておくことによって速やかに相続手続きを完了させることができたケースです。

厚生労働省が公表している推計データによれば、認知症と診断された65歳以上の高齢者は、2020年にはおよそ292万人に達すると予想されています。

認知症と診断されていなくても、年齢を重ねると共に判断能力が低下することは当然でもあり、将来、自分の親や自分自身が認知症になったときのことを頭に入れておくことは、それほどおかしなことではないでしょう。

※ 誤解されがちですが、遺言があったとしても、相続人全員の同意によって遺言の内容と異なる遺産分割をすることができます。

ただし、遺言の中に「遺言と異なる遺産分割協議は禁止すると書いてある場合」「相続人以外の人が遺言執行者に指定されている場合」はできません。

 

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