地役権設定は利益相反行為になり得るか?

今回は久しぶりに実務の備忘録を書きたいと思います。

 

承役地の一部についての通行地役権設定登記手続きのご依頼がありました。

 

承役地の一部について、地役権設定する際に気を付けなければならないのは、地役権図面を添付することですね!登記原因証明情報としては、地役権設定契約書に地役権図面を合綴し契印したものを添付しました。

 

【申請情報】
登記の目的 地役権設定

原因 平成◯◯年◯◯月◯◯日設定

目的 通行

範囲 北側◯◯・◯◯平方メートル

権利者 A

義務者 甲株式会社
    代表取締役A

添付情報
登記原因証明情報  登記済証  印鑑証明書  株主総会議事録
地役権図面  代理権限証書  会社法人等番号

不動産の表示
1.承役地 〇〇の土地
2・要役地 〇〇の土地

 

 

申請書について、1点だけ法務局から「不動産の表示は、承役地を先に記載してください」とのお願いがありました。実際は私は要役地を先に記載したのですが、次回からはそのようにしてくださいとのことでした。(お願いレベルの話なので、補正にはなりません)

これはおそらく、「申請地は承役地」であって、要役地は職権によって登記されるため、申請地である承役地を先に書いてほしいということだと思います。

※個人的な見解です。

 

申請書を見れば、するどい方はお気づきかと思いますが、利益相反になっています。

 

地役権設定で利益相反なんて、かなりのレアケース!!

私は最初に「あ、これ利益相反だなー」と思って議事録を作成したのですが、念のため調べてみようと思って実務書をあさってみても、地役権の利益相反に関しての記述がどこにもありませんでした。ネット上で探しても専門家の記事は見当たらず…。普通なんらかの記述はヒットするんだけどな~。

 

地役権は、土地につく権利であって、人につく権利ではないので、例外的に権利者の氏名が登記されません。その関係で、もしかして地役権に関しては利益相反にならないのかな?なんて、ふと疑問がわきました。

 

しかし、登記論を一旦離れて法律論だけで考えると、会社所有の土地上に当会社の代表取締役が個人として通行しようとしてるんだから、実質1人で恣意的な契約ができてしまう。

 

 

「こりゃ絶対利益相反だ!!」

と自分では結論を出したのですが、

心配なので法務局と打ち合わせしてみました。法務局も即答できず、ちょっと局内で検討させてくださいとのこと。

 

結果、やっぱり利益相反なので、議事録添付必要でした。

 

どんな登記であろうが、専門書に記載がなかろうが、原則に立ち返って考えなければならないですね!久しぶりにワクワクした登記でした☺

 

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