エンディングノートを書く意味とは?

繰り返しお伝えしているとおり、遺言は法的な強制力があり、遺産の行き先がはっきり指定されているため、遺される相続人にとっては大変助かります。遺言の作成は終活の中でも代表的な手続きです。

 

それに対して、エンディングノートは法的な強制力はありません。しかし、形式にとらわれることなく死後の希望や、万が一認知症になったときにはどうしてほしいかということまで自由に書くことができます。どちらかというと、死後だけでなく生前についても様々な手続きを決定していかなければならない家族の負担を減らしてあげるもの、そして自分の生きてきた証を伝える意味合いが強いものだといえます。

 

エンディングノートを書く意味は大きく3つあります。

  • 重要な事項を伝えておくこと
  • 自分の希望を伝えておくこと
  • 感謝の気持ち、そして自分の歩んできた人生を伝えておくこと

 

エンディングノートには、法的な強制力がないため、「書いても意味がないのでは?」と思われがちですが、そんなことはありません。

例えば、自分が喪主を務めることになったと想像してみてください。葬儀の費用について、どのくらいの祭壇にすればよいか、どのくらいの棺桶にすればよいか、権利証などの重要書類はどこに保管してあるか、そして一体誰に訃報を知らせばよいか等、即答できるでしょうか。

 

葬儀の打ち合わせのときは考える時間が十分になかったり、気が動転していたり、さらに相場もよくわからないことから、葬儀社のオススメ商品を選んでしまいがちです。価格が松・竹・梅と用意されていると「なんだか一番安い価格のものは選べない」という気持ちになるので、ついつい真ん中の価格のものを選んでしまいます。実は、葬儀社が最も売りたい商品がその真ん中の価格の商品であることが多いのです。もし自分の中で、「棺桶はすぐに焼いてしまうものだから、一番安いものでよい」と考えているのであれば、エンディングノートのしっかりその旨を記入しておくことで喪主は迷うことなく商品を選ぶことができます。

また、自分がもしものときに親しくしている友人に知らせてほしくても、子供は親の友人の住所や電話番号などは案外知らないものですので、エンディングノートに「もしものときに知らせてほしい人リスト」を書いておくとよいでしょう。

 

このように、大切な人が一番悲しんでいるそのときに、多くの決断を迷いながらしなければならないため、自分の最期を迎える準備として介護・医療・葬儀・供養など、自分の希望を書き残しておくことには大きな意味があります。

 

エンディングノートで一番特徴があるのは「感謝の気持ち、そして自分の歩んできた人生を伝えておくこと」です。エンディングノートは、いわば真っ白なキャンパスに自分の思うままに何でも書けることが醍醐味ですので、自分の人生を振り返って自分史や思い出を綴ってみるのもすごく素敵だと思います。

学生時代にどのような活動をしていたか、卒業してからはどこに住んで、どのようなことに努力してきたか、またその時に感じた悔しかったこと、楽しかった思い出など、それを読んだ家族は、思いを馳せて涙を流すかもしれません。それに、一度立ち止まって自分の人生を振り返ることは、第2の人生をスタートさせるにおいて重要な分岐点となるはずです。 

 

遺言とエンディングノートにはそれぞれメリット・デメリットがありますので、結論からいうと、両方残すのがベストです。しかし、同時に取り掛かるのはハードルが高いと思いますので、まずは気軽に取り組めるエンディングノートを書いてみるのがよいかもしれません。市販のエンディングノートも多数ありますが、大抵はすごくボリュームのあるものとなっており、書ききれず途中で挫折する方が多いように思います。よって、最初から最後まで書かずに、自分が必要と思うところだけ書いて、あとは気が乗るところを追加するぐらいの気持ちで気軽に書くのがよいでしょう。

 

遺言書もエンディングノートも、人知れず書いただけでは、死後発見されず、意味をなさないものになってしまうリスクがあります。自分のお世話になっている方、または死後に手続きしてくれる方に渡しておくか、保管場所をしっかり伝えておきましょう。

この記事を書いた人はこんな人→プロフィール

 

まとめ

 

エンディングノート

遺言書

遺書

法的効力

なし

あり

なし

伝える内容・目的

葬儀の方法・供養の方法・余命宣告の考え方などの相続人が迷いがちな死後の具体的な手続きの希望を伝える。自分史など自分の人生の記録を残しておく。

遺産争いにならないように、遺産を誰に遺すのか指定する。付言で、自由に気持ちを伝えることも可能。

死ぬこと・亡くなることを前提として、自分の気持ち書いた手紙

書き方

自由

規定された書き方で書かないと無効になるので注意。公正証書遺言が安心。

自由

書き直し

いつでも可能

いつでも可能

いつでも可能

費用

数百円~

・自筆証書遺言の場合:数百円~

・公正証書遺言の場合:数万円~20万円程度(資産に応じて増減)

数百円~

 

ページの上部へ戻る