株式会社の共同代表に関するお仕事がありましたので、備忘録として書かせていただきます。
※少し専門的なお話になります。
先日、ある会社の社長様から代表取締役を1人から2人にしたいとのご相談があり、詳しくお伺いしたところ「単に代表取締役を2人にするだけでなく、それぞれ別の会社実印を持ちたい。」とのことでした。
「もちろん可能です!」
そこまでは、通常の相談の回答だったのですが、顧問税理士の先生からさらに次のような質問がありました。
「共同代表となっても、何かしら契約するときに代表2人の印鑑がいらないように(1人だけの印鑑ですべて事が済むように)手続きしてほしい。」
一瞬「?」となりました。なぜなら、元々代表取締役として選定されている方は、それぞれ会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする包括的な権限を持つからです。
もっと詳しく言うと、対内的のみならず対外的にも代表取締役の権限の範囲を制限・限定することはできますが、対外的な関係において、その事情を知らない相手に対しては代表取締役が業務執行権に制限があったことを主張できないのです。
要は、そのような手続きがなくとも当然に1人で何もかも手続きできるので「?」となったわけであります。
その旨を税理士の先生にお伝えすると、「いや、1人でできるように手続きが必要だったはずだけどなあ」とのこと。
とりあえず、少なくとも現在の法律ではそのような取り扱いはなく、2人の印鑑が必要な場面はないとお伝えして、帰って少し調べてみました。
調べてみると、2005年までは「共同してのみ代表権を行使することができる旨」を定めることができたそうです。「何か契約する際には必ず2人の印鑑が必要」という定めができたわけですね(^^)
おそらく、この制度が頭の片隅に残っていて少し誤解されていたのかなと思われます。
(※ほとんど利用されることがなかったため、今は廃止されています)
つまり、何も定めなかった場合には、昔も今も同じようにそれぞれ代表権を持つということなので、今回はどちらにしてもお客様のご希望通りそれぞれ代表権を行使できるので問題なさそうです☺