その他の便利な公正証書の利用場面
1.事実実験公正証書
事実実験公正証書とは、公証人が見たり聞いたりした事や実験した事実について作成される公正証書のことです。
公正証書にすることにより、その書類が公文書(証明力の高い文書)となります。
具体的な例として、以下のものがあります。
①貸金庫を利用者以外の者が開扉する必要が生じた場合(例えば,貸金庫利用者が使用料を支払わなかったり、借主が死亡した場合など)に,その経緯や開け閉めの状況を記録する。
②本人が延命治療を望んでいない場合に,その真意を保証するため,本人の供述を記録する。
③キャンペーンセールの抽選が適正に行われたことを保証するため、抽選の実施状況を記録する。
④土地の境界争いに関して現場の状況の確認・保存に関する事実を記録する。
⑤株主総会の議事進行状況に関する事実を記録する。
このように様々なものがあります。事実実験をどのように実施し、どのような内容の公正証書を作成するかは、その対象物により異なりますので、具体的には公証人と事前に十分打合せをすることが必要です。
2.事業用定期借地権の設定(借地借家法23条3項)
事業用に使用する建物の所有を目的として土地を借りる場合は、公正証書によって作成しなければならないことになっています(借地借家法23条3項)。
なお、一般定期借地権(同法22条)や定期建物賃貸借(同法38条)については、公正証書の作成が要件にはなっていませんが、契約内容を明確化するために公正証書を利用する場合もあります。
3.任意後見契約公正証書
任意後見契約とは、認知症に備えて本人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務等を事前に委託しておく契約のことです。
この任意後見契約は、公正証書で作成しなければならないことになっています。このような公正証書を任意後見契約公正証書といいます。
任意後見契約は、管理を託す人を自分で選ぶことができるという点で、法定後見制度(後見・保佐・補助)よりも本人の意思を尊重することができるため、今後ますますの利用が期待されています。