遺言先進国イギリスでは遺言は「紳士のたしなみ」

日本において、遺言書の必要性を認識している人の割合は実に約60%ともいわれています。

 

では、実際に作成している人の割合は何%だと思いますか?

 

驚くことに、日本では約6%しか作成されていません。この数字から「遺言書の大切さはわかってはいるが、作るのに一歩踏み出せない」という気持ちがうかがえます。

日本人は昔から、死やお金に関して話をすることをよしとしませんが、イギリスの調査機関が実施した調査によると、イギリスでは75歳以上の82%が遺言書を作成しているといいます。「遺言は紳士のたしなみ」とされ、「責任ある大人になったら遺言を書くのは当たり前だ。」「遺言を書かないなんて無責任な人間だ。」という考え方が浸透しているのです。

 

具体的に、どのような感覚で遺言を作成するかというと、例えば、日本では結婚を期に生命保険契約をして、受取人を配偶者や子供にしておく方は多いのではないでしょうか。感覚的にはそれくらい一般的に遺言を作成しているのです。

ちなみに、私は32歳のとき、結婚を期に公正証書遺言を作成しました。内容は単純に「一切の財産を妻に相続させる。」というものです。別に何か病気があるわけでもなく、家族関係も良好です。しかし、例えば、私に子供がいない場合、妻は私の両親と遺産分割協議をしなければなりませんし、仮に未成年の子供が2人いる場合には、子供1人1人に特別代理人(主に弁護士)を立てて、妻は弁護士2人と共に3人で遺産分割協議をしなければならないのです(※)。私は万が一のときにそのような負担を妻にかけたくないので、32歳で公正証書遺言を作成しました。

相続人に未成年者がいる場合は、大変な労力・時間・費用がかかることはあまり知られていません。若いから遺言は不要というわけではないのです。

 

 日本人もイギリス人も死亡率は同じく100%です。死は誰にでも訪れるものだからこそ、死をタブー視せずに、家族で話し合える文化を築いていくべきではないでしょうか。

 

(※配偶者と未成年者は、利益が相反するため、未成年者それぞれに特別代理人を立てなければ遺産分割協議ができません。よって、配偶者1人だけで預貯金の払戻しや不動産の名義変更はできません。)

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