Archive for the ‘コラム’ Category
ユーモアのあるお店
少し前に東京出張したときに、私の大好きな「一蘭」というラーメン屋に行きました🍜
そこのトイレにはなぜかトイレットペーパーが12個も!!
入った瞬間「なんじゃこりゃ?!」と思いながら用を足していると壁に張り紙が…
ここの店長のユーモアには脱帽でした(笑)このような発想も素晴らしいですが、このような一見無駄な費用を認める社風も素敵だなと感じました。
「無駄」という言葉は悪い意味で使われることが多いですが、私はそうは思いません。「無駄」とはつまり「余裕」がないとできないことだからです。
「余裕がある」ということは、ひいては良いサービスに繋がります✨
司法書士という仕事は堅い仕事ですが、このようなユーモアを醸し出せるようなセンスのある人物になりたいものです😄
そのほかには、人生初の猫カフェに行ってきました。
最近事務所の近くにネコちゃんが子供を産んですごく可愛いんです🐈完全なイヌ派だった私が少しずつネコ派になってきています。
ここの猫カフェも「なるほど!」と思えるサービスがたくさんあり、勉強になりました😊東京の風にあたるだけで、毎回様々な気付きがありますので定期的に行きたいと思います。
今回は家族信託をわかりやすく5分で解説!!【南海放送ラジオ 江刺伯洋のモーニングディライト】
朝のラジオ番組も、ようやく緊張がほぐれて、楽しむことができるようになってきました。今まではずっと夜のラジオだったのでエンジンがかかっていたのですが、私は朝が弱いので、朝の10時はまだローからセカンドに入れたくらいの状態です(笑)
今回は家族信託の活用事例を5分で解説させていただきました😊
http://radiko.jp/share/?t=20190719101710&sid=RNB
👆終活コーナーから再生されます。
今まではずっと遺言の大切さを説いてきましたが、さらに一歩踏み込んで「家族信託」の解説に挑戦してみました!
この家族信託は5分で説明しろと言われても非常に難しい制度ですので、そもそも短い時間で伝えられるだろうかと思っていましたが、なんとか簡潔に説明できました(^^♪
もう少し詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみてくださいね。
【東京出張】家族信託の最新情報と超実務を勉強してきました!!
今日は東京に家族信託の勉強に来ております😃
今回は基礎はできてる人前提の応用編です!超実務的な話でまたレベルアップできました。
家族信託はまだまだ黎明期です✍️判例も少なく、理論が確立していない点もありますので常に最新情報やトラブル事例を収集し、知識もブラッシュアップしておかなければなりません。
勉強すればするほど、この家族信託が普及したら助かる方が多いだろうなと感じます。
当事務所の理念である「先進的な法的サービスが地方でも受けられる社会に」を胸に、努力を怠ることなく、お客様に寄り添っていきたいと思います。
相続・遺言セミナー好評につき、大洲でも開催しました【感謝】
前回八幡浜市にて行ったセミナーが好評だったようで、同じ団体の大洲支部においてもセミナーをしてほしいとのご依頼をいただきました!!大変ありがたいです!関係者の皆さまありがとうございましたm(__)m
前回の記事☞【満員御礼】八幡浜市総合福祉文化センターにて、相続・遺言セミナーを行いました!
今回もセミナー後の質問が4件、個別相談が6件もあり、相談しやすい雰囲気作りができたのかなと思っております。
司法書士事務所や弁護士事務所などの法律関係の事務所って、なかなか相談に行きづらいですよね?
その「相談しづらさ」が故に、相談することができず、結果として対策を取らずにトラブルになるケースは数え切れないほどあります。
「トラブルになる前に、ちょっとでも相談してくれていたら回避できていたのに・・・。」と思うことは、今まで何度もありました。
私はこの「相談しやすい環境づくり」を目標の1つに掲げて、1人でも多くの方に身近に法的サービスを提供できるように活動しております。
これからも、法教育の一環として、周知活動を積極的に行ってまいります。各種セミナーをご希望の方は、ご遠慮なくご連絡ください。
【家族信託のメリット】認知症による財産の凍結を防ぐことができます!
認知症による財産の凍結を防ぐことができます
「母が認知症で実家が売れない!!」
このような相談を受けることがよくあります。
ご高齢になると、認知症になったり、病気になったりして介護費用や入院費用がかさむため、「認知症の母が持っている不動産を売って、母の費用に充てたい」とのご相談をいただくことがありますが、それはできません。
母のためだからといっても、あくまでも母のものですから、代わりに手続きをしようとしても「母の」意思が確認できないのなら売却できません。
想像してみてください。自分名義の不動産が、自分の知らないうちに勝手に売却されていたらどうですか?当たり前ですが、立派な犯罪です。法的にそのようなことはしてはいけないことになっています。
それでも、「私は母を介護していて、印鑑も通帳もすべて管理しているのよ!」という声が聞こえてきそうです。何とかして不動産を売却しようとしても、実際の不動産取引では我々司法書士が立ちはだかることになります。
不動産を売却するということは、不動産の名義変更(これを正式には「登記」といいます)をする必要がありますが、登記のプロである司法書士は、取引の安全のために、必ず売主の本人確認と意思確認を行います。このときに売主本人である母が認知症で意思確認ができないとなると、取引中止になるのです。
このような事態にならないように、元気なうちに「もし自分が認知症になったら、自分の代わりに不動産を売却して施設の入居費用にあてる」ことを子どもに信託します。契約書で、将来その約束を確実に実行させていくことを取り決めし、不動産の所有権を受託者である子どもに移しておくのです。
するとどうなるかというと、司法書士は母(委託者)の本人確認と意思確認をする必要はなく、子ども(受託者)の本人確認と意思確認を行うだけでよいことになり、問題なく売却することができるのです。
ちなみに、売却したときに受け取るお金は母のものですし、そのときに発生する税金もその中から支払います。「母のため」の家族信託ですから、そのようになります。
このケースでは、受託者は子どもにしていますが、配偶者であったり、面倒を見ている甥姪が受託者になったりするもありますし、法人が受託者になることも可能です。とにかく信頼できる受託者にお願いすることが大事です。
家族信託のその他の代表的なメリット
家族信託には、財産の管理・処分以外にも様々なメリットがあります。
1.贈与税・不動産取得税が課せられることなく、財産の所有権を移転して家族に管理・処分を任せることができます。
例えば、通常の贈与によって子どもに財産を移すと、贈与税と不動産取得税がかかってしまいますが、家族信託であれば非課税となります。さらに、登記に際に支払う登録免許税(印紙税)も通常の5分の1で所有権移転登記を行うことができます。
なお、比較として、成年後見制度では裁判所の監視下に置かれるため、負担と制約が多く、積極的な管理運用や相続税対策は難しくなるのです。
2.高齢者となった親が詐欺の被害に遭うことがなくなります。信託した財産については、親に契約する権限がなくなるため、詐欺にあう心配がありません。
3.信託した財産の受益者を数世代に渡って指定することができます。当初の受益者が死亡したら次は孫に、その次は・・・というように、あらかじめ受益権の承継先を決めておくことができます。つまり、信託した財産については、遺言以上に財産承継の効果を持たせることができます。(※指定できる年数には制限があります。)
なお、遺言では、次の世代までしか承継人を指定できません。
このように家族信託は、管理・処分だけの用途ではなく、遺言の代わりとなる機能も持ち合わせているため、相続の常識にとらわれない「想いに即した」資産承継・管理・処分を実現できます。家族の形が多様化している現代においては、この家族信託を用いることによって救われる方は多いはずです。
今テレビや新聞で話題の「家族信託」とは?
家族信託(民事信託)とは何か?
ひと言でいうと「自分の財産の管理・処分を家族に任せる仕組み」です。いわば、「家族の家族による家族のための信託(財産管理)」と言えます。
正式には、「民事信託」といいますが、テレビや新聞で取り上げられる際に多く用いられた言葉が「家族信託」であったため、こちらの言葉が一般的になりつつあります。
「信託って、投資信託では?」と思われる方がほとんどだと思いますが、仕組みは同じでもイメージは全く異なります。
投資信託のように資産運用の「プロ」にお金を預けるのは商事信託といい、「プロではない家族」に資産を預けることを民事(家族)信託といいます。 家族に預けるので、報酬なしとすることができます(報酬を定めることもできます)。特に、管理が継続的に必要な不動産や売却が必要な不動産をお持ちである方には大きなメリットがあるでしょう。
家族信託の仕組み
家族信託は、委託者・受託者・受益者の3者で成り立っています。
委託者(財産を持っている人)が、受託者(信頼する人)に財産を託します。受託者は受益者(財産から利益を得る人)のために、財産の管理・運用・処分を行います。家族信託の最大の特徴は、委託者から受託者に所有権が移転するところにあります。
委託者=当初の財産を所有している人
委託者は、託したい財産を信託財産として受託者に託します。今後の財産の管理・処分に不安があり、信頼できる人に財産を託したい方が、家族信託を行う際に「委託者」となります。
受託者=信託財産を管理・運用・処分をする人
受託者は、委託者との信託契約に従って管理・運用・処分をします。信託事務を行うこと、自分の財産と分別して管理すること、帳簿作成・報告などの義務が生じます。ご家族の中でもしっかりと財産管理ができる方であり、委託者の想いを理解し、長期にわたって財産管理が可能な方が望まれます。また、受託者になる方は、信頼できる方ならご家族に限りませんが、原則として司法書士や弁護士などの専門職が受託者になることはできません。
受益者=利益を得る権利を持つ人
受益者は、受託者が行う財産の管理・運用・処分で生じる利益を得ることができる人のことです。例えば、高齢の配偶者、認知症の配偶者、障がいを持つ子などが受益者となることが多いでしょう。
また、この他にも必要に応じて、信託監督人(受益者のために受託者を監督する者)や受益者代理人(受益者のために受益者の権利を行使する者)などを定めることができます。
なお、委託者と受益者が同一人物である信託のことを「自益信託」といいますが、実務ではほとんどこの自益信託が活用されていますので、当事務所のホームページでは主に自益信託を解説いたします。
【初心忘るべからず】開業当時に撮った写真📷
平成30年9月13日に今の事務所に移転をしました。
前の事務所はプレハブで、父が測量士として30年前に開業した事務所でした。元々は倉庫を事務所として使っただけのようで、私はその事務所の机を1つ借りて開業したのでした。
ちなみに父は畑違いの「測量士」なので、同じ場所で働いてはいますが、仕事で連携することはほとんどありません(笑)
最初は「こんなボロボロな事務所でやりたくない。恥ずかしい。」と思っていましたが、この事務所が幼い頃から自分を食べさせてくれたんだなと思うと、なんだか感慨深いものがありました。
場所はわかりにくいし、駐車場もわかりにくい。お客様は事務所にたどり着けない。夏は灼熱、冬は極寒の不便極まりない事務所でしたが、最近はそんな自分を育ててくれた事務所、そして両親への感謝を忘れてはならないと思って、開業当時の写真を事務所に飾りました。
これから先、事務所を経営していく中で色々あると思います。開業当時の志を忘れないように、驕ることなく、常にお客様の方を向いて努力していきたいと思います。
今後とも、みなと司法書士・行政書士事務所を宜しくお願い致します。
伊予銀行様主催の相続法改正セミナーを担当しました【遺言への関心が高まっています!】
本日、伊予銀行八幡浜支店様において「相続法改正セミナー」の講師を担当させていただきました!
以前のブログ☞「2月21日に伊予銀行さま主催の相続法改正セミナー講師を担当します!」
参加者は約20名ほどだったかと思います。個別相談も4件ありまして、とても盛況でした(^^)/
「知らなかったが故の、まさか!」が起きないように、今後も引き続きセミナーを通じて相続対策の大切さを伝えて行きたいと思います。
相続対策の1つとして遺言の大切さを伝え続けたのが功を奏したのか、この2月だけでも遺言の受任が5件もありました。有り難いことにすべて知人からのご紹介でしたが、相続に向き合って「しっかりと対策をしておかないと場合によっては大変なことになる」ということが世間の方々にも浸透してきているように感じます。
当事務所では、単に「〇〇に相続させる。」だけの単純な遺言ではなく、しっかりと親族関係の聞き取りを行った上、遺留分も考えて付言事項なども盛り込むことにしています。ご依頼人の言われたことをそのまま形にするだけでは、専門家として相続対策を行ったとは到底いえません。総合的に判断して、遺言以外にはどのような対策が必要か、その結果どうなるのかしっかりお伝えした上で作成いたします。
さらに、死亡後の遺言の執行について、相続人の方の負担が大きい場合は、私が遺言の執行者となり相続手続きをすべて行うこともできますのでご安心ください。初回の相談で相談料をいただくことはございませんので、お気軽にお問い合わせください。
【抵当権変更登記】単独の債務者から連帯債務者への免責的債務引受 ~保証債務の債務引受~
備忘録として、抵当権変更登記の免責的債務引受契約にいて書きたいと思います。
【登記記録】
抵当権者 A保証会社
債務者 B
所有者 C・D
(※本抵当権変更登記の前提として、BからC・Dへ所有権移転登記を行っています。)
こちらの状態で、債務者 BからC・Dが免責的債務引受契約を行い、変更後の事項を「連帯債務者 C・D」としたいとのご相談が某銀行からありました。
よくあるパターンでは、「債務者 B→債務者 C」だったり、「債務者 B→連帯債務者 B・C」とする重畳的債務引受だったりするのですが、今回は、BからC・Dに免責的に引き受け「C・Dの連帯債務」にするとのことでした。
某銀行にもA保証会社にもこの様式がなかったようで、そもそも1つの契約で大丈夫なのかということのリーガルチェックと、契約書作成のご依頼を受けました。
私は民法上も登記上も全く問題なく1つの契約書及び1件の登記申請で可能との感触を持ったのですが、意外にも珍しいパターンであるため、念のため法務局にも確認したところ「過去の先例にもないし、書式にもないので、調査の時間をください」とのこと。
3日待ってようやく「貴見のとおり」との回答を得られました。
登記原因証明情報は以下のとおりです。(契約書は長文になるので割愛します)
登記原因証明情報
平成 年 月 日
〇〇法務局 御中
1 登記申請情報の要項
(1)登記の目的 抵当権変更
(2)登記の原因 平成 年 月 日免責的債務引受
(3)変更後の事項 連帯債務者 C・D
(3)当 事 者 権利者 A保証会社
義務者 C・D
(4)不動産の表示 省略
2 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)平成 年 月 日、債権者 A保証会社および債務者Bと引受人C及びDは、本件不動産上の抵当権(平成年月日〇〇法務局受付第〇〇号)の被担保債権である平成 年 月 日付保証委託契約によるBのA保証会社に対する求償債務について、C及びDが連帯債務者として免責的に引き受ける旨の免責的債務引受契約を締結した。
(2)平成 年 月 日、C及びDは、前項の免責的債務引受けについて同意した。
(3)よって、同日、本件抵当権の債務者は連帯債務者 C及びDに変更された。
上記の登記原因のとおり相違ありません。
設定者 C・D(署名押印)
様式・書式がなくても、民法と不動産登記法の原理原則に基づいて書類を作成できるのがプロってもんですよね☺ワクワクするような仕事に出会えたことに感謝いたします!!
【法改正】2020年7月10日から、法務局に自筆証書遺言を保管してもらう制度が創設されます!
2020年7月10日から、法務局に自筆証書遺言を保管してもらう制度が創設され、家庭裁判所による遺言の検認手続きを省略できるようになります。
自筆証書遺言と公正証書遺言の効力の一番の違いは、検認手続きが必要か不要かという点にあるといえますので、改正後においては自筆証書遺言作成の促進が期待されています。なお、公正証書遺言については法務局に保管申請することはできません。(公正証書遺言については、原本が公証役場に保管されています。)
検認手続きとは、家庭裁判所に相続人全員が集まって、遺言書が検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。その「内容」が有効か無効かを家庭裁判所が判断する手続きではありません。
≪※「形式上有効な遺言書」と、「実際に使えるか遺言書」というのは、全く違います。どういうことかというと、形式上有効であっても、財産の特定が不十分であったり、本当に遺言者本人が書いたものか特定できなかったり、さらには財産をあげたい人が特定されていなかったりして、実際の手続きを行う銀行窓口や法務局でお断りされることがあるのです。≫
この検認手続きは、相続人全員の戸籍をすべて集めてから、家庭裁判所に検認の申立てを行い、その後に家庭裁判所から相続人全員に対して「〇月〇日に検認手続きを行いますよ」という通知がされる流れになります。
この申立てはさることながら、その前の相続人全員の戸籍集めの段階で手間取ることがよくあります。なぜなら、戸籍謄本というのは、自分の両親・祖父母・子・孫など直系の血族のものは自分だけで取得できますが、兄弟姉妹などの横並びの血族(傍系血族といいます。)の戸籍謄本は、勝手に取得することができないからです。
つまり、兄弟姉妹の仲が悪かったり、連絡がつかなかったりして手続き協力が得られない場合は、申立て前の戸籍集めの段階で苦労することになるのです。自分で取得できない場合は、司法書士又は弁護士に依頼して、職務請求により戸籍収集をしてもらうしかありません。
想像してみてください。
せっかく、世話になった子にすべての財産を相続させてやろうと思って遺言を書いていても、結局その子は兄弟姉妹の協力を得るしかないという状況が発生するのです。専門家に支払う無駄な費用が発生するし、検認手続き時にわざわざ「すべて自分のものになる」という内容の遺言を兄弟姉妹に見られるのですから、気まずい空気になるのは容易に想像できるでしょう。
法務局での具体的な保管申請手続き
遺言者は、自筆証書遺言を作成し、法務局に出向いてその保管の申請をすることができます。遺言書の保管申請は、「遺言者の住所地もしくは本籍地」又は「遺言者が所有する不動産の所在地」を管轄する法務局(正式には、遺言書保管所といいます。)の遺言書保管官に対して行う必要があります。
申請の際に特に注意しなければならない点として、次の2点があります。
①本人が自ら出頭すること
②遺言書の封筒の封をせずに持参すること
①について
遺言というものは本人しかできず、代理で行うことができません。この考え方は公正証書遺言においても同じです。遺言者が管轄法務局に自ら出頭した際に、遺言書保管官は遺言者の本人確認を行わなければならないことになっています。
②について
遺言書保管官は、遺言者が持参した自筆証書遺言の適合性を確認してから受付をするため、封をせずに持参しなければなりません。これを聞いて多くの方は「遺言書保管官がちゃんと確認してくれるから安心だ!」と思われたのではないでしょうか。
実はここに落とし穴があります。
遺言書保管官は、保管申請に係る遺言書について、法律で決められている最低限度の「外形的」な確認・適合性の審査を行うだけで、その遺言書の「内容」が適法・有効であることを認めて受付するわけではないのです。
【詳細な取り扱いについては、その他制度の創設に当たり所要の規定の整備を行うものとしています。】
つまり、遺言書保管官は、審査の時点で「明らかに無効」な遺言書であれば、「これは無効な遺言書だから、やり直してください。」と教えてくれますが、その遺言書が①本文・日付・氏名の自書、②押印、③加除訂正の方式が外形的に有効でありさえすれば、その内容が適法か有効かの確認をすることなく受付されてしまいます。遺言書保管官は、「外形的」な有効・無効の確認義務はありますが、「内容」の適法性・有効性の確認義務は負わないことになっているのです。
しかし、このような取り扱いになるのは仕方のないことだと思います。法務局がすべての自筆証書遺言の適法性・有効性を確認の上、保障することは現実的ではありませんし、万が一、その受付した遺言書が裁判所に無効と判断されてしまった場合、法務局の責任問題になってしまうためです。
同じ理由で、外国語による遺言書の保管申請があった場合に、仮に法務局において遺言書の内容が判読することができないとしても、法務局は保管に係る遺言書が自筆証書遺言の方式で作成された遺言であるかどうかを確認することができればよく、その他の適法性・有効性まで確認すべき義務を負わないため、外国語による遺言を保管の対象から外す必要はないと考えられています。
保管制度を利用しても残る煩わしさ ~公正証書遺言との違い~
当該遺言書の保管を申請した遺言者の相続人は、遺言者の死亡後、法務局に保管されている遺言書についての遺言書情報証明書の交付を請求することができます。
相続人は、この遺言書情報証明書を使って相続登記や銀行手続きを行うことができます(遺言書の原本を返してもらうことはできません)。なお、遺言者の生存中は、遺言者のプライバシー保護の観点から、相続人は当該遺言書情報証明書を交付請求することができません。
この遺言書情報証明書の交付申請をすると、遺言書保管官は速やかに「遺言書を保管している旨」を遺言者の相続人全員並びに受遺者・遺言執行者(遺言を執行するように指定されている人のことです。)に通知しなければならないことになっています。要は、関係者全員に「ここに遺言書を保管しているよ」と通知するのです。そして、この通知をするために法務局は、検認手続きと同様の書面(相続人全員の戸籍一式)を求めることになるといわれています。
【詳細な取り扱いについては、その他制度の創設に当たり所要の規定の整備を行うものとしています。】
つまり、法務局に遺言書を保管しておけば、検認手続きが不要になって便利ではありますが、結局のところ遺言書情報証明書を交付申請する方は、相続人全員の戸籍収集をしなければならない羽目になります。
この点、公正証書遺言においては、法務局や銀行窓口で使用する際に、相続人全員の戸籍収集は不要ですし、相続人全員へ通知がなされることはありません。何も手続きを踏まずに、すぐに各窓口で使用することができます。自分で集められる範囲の戸籍だけを集めて、速やかに手続きを完了されることができるのです。
①自分で保管した場合の自筆証書遺言、②法務局で保管した場合の遺言、③公正証書遺言の3つは、法律的な効力は全く同じですが、手続きの煩雑さは大きく異なるものになります。次の表にまとめましたので確認してみてください。
|
自筆証書遺言 (自分で保管) |
自筆証書遺言 (法務局で保管) |
公正証書遺言 |
相続人全員の戸籍収集 |
必要 |
必要 |
不要 |
相続人全員への通知 |
裁判所から検認期日の通知あり |
法務局から通知あり |
なし |
検認手続き |
必要 |
不要 |
不要 |
自筆証書遺言は、今回の相続法改正によってより身近なものになると思われますが、公正証書遺言と比べると、相続人はかなりの労力をかけて手続きを行う必要があることを理解しなければなりません。自筆証書遺言の検認手続きや相続人の全員の戸籍収集の際にかかる専門家費用と、公正証書遺言作成の際にかかる専門家費用はそれほど変わるものではありませんので、コストと労力の費用対効果を考えるとどちらが良いのかは明白です。
どの方式で財産を遺すべきか、人によって様々な意見があると思います。
しかし、財産を遺すお世話になった人のことを想うのであれば、公正証書遺言で作成してあげることが一番の思いやりであると私は思います。
相続法改正に関するセミナー・講演等承りますので、お気軽にご連絡ください☺
【法改正】2019年1月13日から始まった「自筆証書遺言の方式が緩和」についてはこちらをクリック
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